
みなさんはサジーベリー(沙棘)という植物を知っていますか?サジーベリーは、スーパーフードと呼ばれる食材のひとつです。中国などのユーラシア大陸に自生しているフルーツで、シーベリーとも呼ばれます。
希少なフルーツなのであまり馴染みのない人も多いかもしれませんが、うれしい特徴がいっぱいあります。この記事ではサジーベリーの特徴を解説し、どんなことが期待できるのかまとめました。健康や美容に興味がある人はぜひご覧ください。
サジーベリーとは?
サジーベリーと聞いて、ジュースをイメージする方が多いのではないでしょうか。サジーベリーの果実はジュースに加工されていることが多いですが、具体的にどのようなものであるか確認しておきましょう。ここでは、サジーベリーがどのようなものであるか4つの項目に分けてご紹介します。
7,000万年前から生息する
サジーベリーは、7,000万年前から生息する歴史の古い植物です。サジーベリーは世界中に分布しており、さまざまな種類があり、5mmほどまで成長するものがあれば、1cm以上も成長するものもあります。
さらに、1,300万年前からは薬草として知られており、古い医学書にも記載されていました。古い医学書によると、昔から日々の生活のなかで効果や効能を実感した方々がいたと考えられます。
生息している期間はとても長いですが、本格的に研究されてからまだ数十年ほどしか経っていません。現段階では栄養素が300種類近く含まれているといわれていますが、この先研究が進むなかで新たな栄養素が発見される可能性があるでしょう。
厳しい環境の土地に自生する
サジーベリーが生息している地域は、他の植物が枯れ果ててしまうような厳しいところが多いです。場合によっては、−40度まで気温が下がってしまう寒い地域に生息しているケースがあり、野生動物の貴重な食物としても重宝されています。
サジーベリーを収穫するには、厳しい土地に足を踏み入れなければいけない場合があります。収穫には農家が携わりますが、冬はほかの植物が育ちにくい季節でもあるため、農家にとってサジーベリーの収穫は大切な収入源といえるでしょう。
また、サジーベリーの果実のまわりには、服の上から腕に刺さるような棘がついています。収穫する際、硬い棘に細心の注意を払う必要があるので、そう簡単には収穫できない植物としても知られています。
極寒の地に暮らす方々にとっては暖をもたらす
サジーベリーは、砂漠などの乾燥した地域や極寒の高地などに生息している植物です。サジーベリーの木は、暖を取るための薪として活用されており、火の気がない環境や暮らしには欠かせない植物のひとつです。
木を伐採して暖を取ることは、森林伐採の一端となっているのではと思う方もいるでしょう。サジーベリーは成長が早いので、伐採してもすぐに回復する傾向にあります。収穫するときに邪魔になる枝も、暖を取るための薪にはうってつけといわれています。
栄養価が高くさまざまな効果が期待できる
サジーベリーの果実は、さまざまな栄養素が含まれており、健康や美容にとってよい効果が期待できると考えられるでしょう。主な栄養素は、ビタミンA、C、K、E、鉄分、カルシウム、マグネシウム、カリウム、銅、亜鉛などです。
具体的には、肌や心臓の健康促進、血糖値の調整、免疫力の向上などが期待できるといわれています。冷えや抗酸化作用も期待できることから、更年期症状の緩和にもつながり、幅広い年代で注目されている効果ばかりです。
サジーベリーの種子と葉っぱには、フィトステロールという栄養素が含まれており、血液中のコレステロール値を抑える働きがあるといわれています。ただし、サジーベリーの効果には十分な科学根拠がありません。
サジーベリーの各部位の特徴とは?
サジーベリーは、果実だけではなく、そのほかの部位も使用されるケースがあります。ここでは、サジーベリーの各部位の特徴についてご紹介します。
果実
サジーベリーの果実は、種類によって色や大きさ、味、成分などが異なり、直径5mmのものから1cmほど成長するものまでさまざまです。一般的には、9月〜10月ごろに実ります。
サジーベリーの果実の表皮は、柔らかく傷みやすいので、収穫するときに傷つけないように気をつける必要があります。枝には棘もあるので、ほかの植物と比べて、収穫するのが難しいといえるでしょう。
また、サジーベリーの果実は、主にジュースに加工されています。果実から取れるオイルは、美容成分のひとつとして知られているパルミトレイン酸が3分の1を占めており、美容アイテムとしても活用されています。
種子
サジーベリーの種子は、種類によって異なりますが、ゴマのような卵形をしており、黒茶色で硬い点が特徴です。取りにサジーベリーの果実を食べてもらうことで、種子が拡散されています。そのため、鳥に食べてもらえるように、11月〜2月の間は果実を落とさないようにしています。
鳥の体内で成長したあとに排泄物と一緒に落とされるのですが、サジーベリーの種子が成長するスピードはとても早いです。また、種子からはオイルが抽出されており、α-リノレン酸を多く含むことから、美容業界で原料として使用されることも多いです。
葉っぱ
サジーベリーの葉っぱは、サイズが2cm~4cmほどで柳葉状になっています。葉っぱの表は緑色ですが、裏側は銀色が混ざったような緑色です。冬に近づくと、葉っぱを一気に落として乾燥からしのぎます。
葉っぱは、果実ほど商取引が行われているわけではないですが、動物の飼料や健康茶の原料として使用することが可能です。ほとんどの葉っぱは、冬の間に落葉して、自然にかえるサイクルを繰り返します。
枝
サジーベリーの枝は、幹と同じように、硬く成長が早い点が特徴です。ネパールなどでは、動物の飼料や薪として活用されており、良質な燃料として注目されています。
実際に、ネパールは森林破壊や土壌侵食などの問題を抱えており、サジーベリーの枝の活用は環境保全につながるといわれています。サジーベリーは成長スピードが早いので、薪燃料として枝を伐採しても、すぐに回復して活用できるでしょう。
棘
サジーベリーの棘は枝についており、長く大きい槍のような形状をしています。棘を持っている理由は、大型動物が一気に果実を食べてしまうのを防ぎ、サジーベリーの種子を鳥によって拡散してもらうことだと考えられます。
サジーベリーの棘は、鳥などの小動物が侵入し、食べやすい間隔でついている点が特徴です。小動物によってサジーベリーの種子を拡散してもらえるだけではなく、小動物にとっても貴重な栄養源を摂取できるメリットがあります。
根っこ
サジーベリーの根っこは、蜘蛛の巣状に張り巡らされており、厳しい環境でも生息できる秘訣が隠されています。根っこにはフランキアという放線菌が共生しているので、空気中の窒素を取り込んで、アンモニア化合体窒素に変換して、肥料に変えることが可能です。
新芽
サジーベリーの新芽は、花のような姿をしており、一般的に4月ごろに芽吹きます。開花してから受粉するまでほかの植物と比べてとても期間が短いですが、芽吹いてから果実を実らせるまで、早くて3年ほどかかるといわれています。
サジーベリーに含まれる栄養素は約200種類!
サジーベリーは、ビタミンや鉄分など200種類以上の栄養素が含まれているフルーツです。日常生活で不足しがちな栄養素があっても、サジーベリーを食べれば気軽にバランスのいい食生活へと改善できる可能性があります。
エイジングケアや産前・産後の栄養補給、疲れやすいと思ったときのパワーチャージなど、利用シーンはあなた次第です。
まずは、サジーベリーの果実に含まれる代表的な栄養素とその効果についてチェックしていきましょう。日ごろから偏った食生活をしている人や栄養不足を感じている人は、サジーベリーで栄養素を補えるかもしれません。
ビタミン
サジーベリーには、ビタミンA、C、Eなど多くのビタミンが含まれています。たとえばビタミンAは卵やほうれん草などに含まれており、細胞の分化を促進する効果があるとされている栄養素です。
ビタミンCは抗酸化作用が有名な栄養素で、コラーゲンの生成や鉄の吸収率などに関わりがあります。ビタミンEは青魚やナッツに含まれており、体内が酸化するスピードをゆるやかにする栄養素です。
体の酸化やコラーゲン生成などに興味がある人は、普段食べている食材にどんなビタミンが含まれているのか注目したことがあるのではないでしょうか。サジーベリーには上記で紹介した代表的な3種類のビタミンのほか、ビタミンK1やビオチン、葉酸、パントテン酸なども含まれています。
鉄分
鉄分は体に欠かせない栄養素のひとつです。鉄分不足が原因で貧血になり、体の不調を感じる人は少なくありません。
厚生労働省の調査によると、日本人女性の40%、とくに月経のある20代~40代の女性の約65%が「貧血(鉄欠乏性)」もしくは「かくれ貧血」とされています。貧血に悩まされている人は、めまいや息切れ、顔面蒼白、頭痛など「なんとなく体の調子が悪いな」と感じる症状が発生しやすいです。
サジーベリーに含まれる鉄分(非ヘム鉄)は、ビタミンCと一緒に摂取すると体内に吸収されやすくなります。ビタミンと鉄分の両方が含まれているサジーは、健やかな気持ちで生活したい人にとってついつい注目してしまう食材なのです。
アミノ酸
サジーベリーには19種類のアミノ酸が含まれています。アミノ酸は、筋肉や肌、髪の毛などに必要なタンパク質を作るために必要な栄養素です。
アミノ酸のなかには人体で生成できるものと生成できないものがあり、生成できないアミノ酸のことを「必須アミノ酸」といいます。必須アミノ酸は食品から摂り入れないと不足してしまうため、バランスのいい食事やサプリメントの摂取を心掛けている人がいるのです。
なんと、サジーベリーには必須アミノ酸がすべて含まれています。鶏肉やアジ、カツオ、しいたけ、大豆などと同様に、バランスよくアミノ酸を摂取できる点が特徴です。
肉や青魚が苦手だったり、食べる機会が少なかったりする人は、サジーベリーを摂取する習慣を身につけるとよりアクティブな生活を目指せるでしょう。
果実だけじゃない!サジーベリーの知られざる魅力
フルーツジュースやジャムの材料として用いられることが多いサジーベリーですが、葉や根といった果実以外の部分にも魅力があります。ここではサジーベリーの知られざる特徴について、どんなメリットが期待できるのかご紹介します。
特徴的な色の果皮
サジーベリーの果皮は、鮮やかなオレンジ色をしています。このオレンジ色はフラボノイドやカロテノイドといった抗酸化物質によるものです。
フラボノイドはポリフェノールの一種で、ワインや玉ねぎ、リンゴなどにも含まれています。カロテノイドは人参やトマト、エビ、イクラなど、多くの食材に含まれている黄色や赤色の色素成分です。
サジーベリーは果皮にも栄養素が多く含まれているため、ジュースやジャムなどにして食べるだけでなく、乾燥して粉末状にすりつぶしたものを健康食品に利用することもめずらしくありません。
高級素材の種子
サジーベリーの種子からはオイルを抽出できます。このオイルに多く含まれる植物ステロールやオメガ脂肪酸といった栄養素は重宝されているため、サジーベリーの種子は高級素材の一種です。
脂肪酸は皮膚の修復に関係がある栄養素ということから、健康食品に限らず化粧品や軟膏の原材料に使われることがあります。なお、β-カロテンやリコピンなどのカロテノイドが含まれているので、種子オイルは果皮と同じようなオレンジ色です。
どうやって摂取する?サジーベリーのある生活
ここまで、サジーベリーに含まれている栄養素がどのようなものか紹介してきました。健康のためにサジーベリーを摂り入れようと考えている人に向けて、ここからはサジーベリーの摂取方法を解説します。
この記事では、代表的な3つのタイプをピックアップしました。いろいろな商品が販売されているので、ご自身のライフスタイルに適したものを探してみてくださいね。
やっぱり王道!ジュースタイプ
サジーベリーが含まれている商品のなかでもっともオーソドックスな商品がジュースなどの飲料品です。サジーベリーの果汁をまるごと含んでいるため、バランスよくたくさんの栄養素を摂取できるでしょう。
サジーベリーの味に興味がある人や、サプリメントなどの錠剤タイプが苦手な人におすすめです。液体なので好きな割材で希釈したり、料理に加えたりできる点もポイント。メーカーによっては、飲みやすくなるようにほかのフルーツジュースとブレンドした商品を販売しているケースもあります。
ただし、サジーベリーは酸味が強いフルーツなので空腹時に原液を飲むと胃腸に負担がかかってしまうので要注意です。酸っぱい飲み物が苦手な人は、少量のおためしタイプで自分との相性を試すことをおすすめします。
手軽に携帯できるサプリメントタイプ
外出が多い人におすすめなのが、手軽に携帯できるサプリメントタイプの商品です。サジーベリーの成分を一粒一粒に凝縮しているため、少量でもたくさんのサジーベリーを食べたときと栄養素の量が変わりません。
また、ジュースタイプと比べて賞味期限が長めに設定されているところも魅力のひとつです。サジーベリーのパワーをじっくり検証してみたい人はサプリメントタイプに挑戦してみてはいかがでしょうか。
番外編!スキンケアタイプ
生き生きとした肌づくりに興味がある人はスキンケア用品がおすすめです。サジーベリーの成分を抽出した石鹸や化粧水、オイルなど、さまざまなタイプのスキンケア用品が販売されています。
肌に直接触れるスキンケア用品を使えば、オメガ脂肪酸をはじめとしたサジーオイルに含まれる成分をダイレクトに感じられるでしょう。ジュースタイプとスキンケアタイプを併用すれば、体の内側からも外側からもアプローチできます。
まとめ
サジーベリーがスーパーフードとして注目されている理由を、おもに栄養価へ焦点を当ててご紹介しました。少量でも200種類以上の栄養が摂取できるサジーベリー。生き生きとした体づくりを心掛けている人は、新たな食生活で思いもよらなかった発見があるかもしれません。
サジーベリーは7000万年前から地球に生息しており、ギリシャ神話やチンギスハンの逸話にも登場するほど人類との付き合いが長い植物です。一方で、本格的な研究が始まってからまだ数十年しか経っていません。
現時点で判明しているだけでも数百の栄養素が摂れるサジーベリーですが、研究次第ではさらに健康に関する効果が判明するかもしれませんね。あなたもぜひサジーベリーの魅力を探ってみてください。
サジーを摂取するときの注意点について
高い健康効果が期待されるサジーですが、栄養価や味などにおいて、摂取の際に気をつけておくべきポイントも存在します。効果的に摂取するためにも、以下の注意点に気をつけましょう。
適切な量の摂取を心がける
サジーは薬やサプリではないため、厳格な摂取制限が定められているわけではありません。そのため体調に合わせて摂取することができますが、早く効果が出るのを期待するあまり、飲みすぎてしまうのは禁物です。
サジーはあくまで食品なので、薬やサプリよりも気軽に摂取できるものではありますが、気を揉んで過度な量を摂取をしてしまわないよう、適量を心がけてしばらく続けてみましょう。
強い酸味があるので飲み方に気をつける
サジーはジュースやサプリ、ゼリーといったかたちで販売されていますが、もともとは酸味の強い果実なので、酸っぱいものが苦手な方や胃腸の弱い方は、じゅうぶんに注意して摂取しましょう。
ほかの果物や甘味料とブレンドして、マイルドにしたものもありますが、純度100%のサジージュースがほしいという場合は、水やお湯などで薄めて飲むことをおすすめします。ほかにも炭酸水や野菜ジュース、牛乳などとブレンドするといいでしょう。
炭酸水に入れる場合、血糖値の上昇が気になる方は、無糖のタイプを使用してください。甘味を足したいのであれば、オリゴ糖やハチミツといった腸内環境にいいものを使用するといいでしょう。
ちなみに、牛乳と混ぜる際は酸によって分離してしまうため、混ぜたらすぐに飲み切るようにしてください。
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